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直接、賃貸住宅にかかわるものではありませんが、不動産税制分野において注目されている改正ですので、親から住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税枠の改正(拡大)について触れたいと思います。
報道等では、この非課税枠の拡大については好意的に取り上げられており、住宅建築の追い風と捉えられています。
確かに、資金に余裕のある親から子への住宅取得資金の移動を促すことは経済にとってプラスの要因となります。
ところが、こと「これまでとの比較」という観点で見ると、かならずしもプラスに作用する、とは言い切れない内容となっています。
そもそも、贈与を受けたことに対して課税される贈与税には、年110万円の非課税枠があります。
また、相続時精算課税制度では2,500万円までは(贈与時には)非課税となります。
平成21年12月31日までについては、相続時精算課税制度の場合で住宅取得のための贈与である場合は、相続時精算課税制度の年齢要件(親65歳以上)が適用されず、非課税枠もさらに1,000万円が上乗せされる(つまり3,500万円まで非課税)ということになっていました。
そして、平成21年6月に経済対策の一環として住宅取得資金に対しては、さらに500万円を非課税枠として上乗せすることができるものとされ、この非課税枠の拡大は平成22年12月31日までの贈与が対象となることとされてきました。
今回の改正で、この上乗せできる500万円が、平成22年中に住宅取得資金の贈与を受けた場合は1,500万円、平成23年中に贈与を受けた場合は1,000万円まで引き上げることになりました。
つまり単純にいえば、贈与税の非課税枠が平成22年は1,000万円、平成23年は500万円上乗せされるわけですから、その効果は大きいのではないかと期待されているわけです。
ところが、税制改正の大綱にはこの非課税枠の拡大と合わせて「住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例について、特別控除の上乗せ(現行1,000万円)の特例を廃止し、年齢要件の特例の適用期限を2年延長します」と明記されています。
つまり、相続時精算課税制度では、1,000万円の特別控除の上乗せがあった平成21年との比較においては、平成22年は差し引き500万円の枠拡大、平成23年は拡大無しということになるのです。
ただし、年110万円の控除枠の暦年課税での贈与の場合は、平成21年は610万円(110万円+500万円)までだった非課税枠が平成22年には1,610万円(110万円+1,500万円)、平成23年でも1,110万円(110万円+1,000万円)になりますので、その効果は結構大きいように思われます。
また、暦年課税の場合であれば、親だけでなく祖父母などの直系尊属からの贈与にもこの特例を使うことができます。
その他、今回の改正によるメリットとしては、親が65歳未満の場合は通常は相続時精算課税制度による贈与を選択することができませんが、住宅取得資金については選択可能とする特例が2年延長されましたので、この条件に当てはまるようなご家族の場合であれば、贈与・子の住宅取得をセットで実行するチャンスでもあります。
注意が必要なのは相続時精算課税制度・暦年課税のいずれの場合であっても、非課税枠の引き上げ対象について、これまでにはなかった贈与を受ける側(一般的には子)の所得の上限が定められています。贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下でなければ、この特例の適用をうけることができなくなっています。
このように見ていきますと、今回の改正における控除の上乗せで受けられるメリットが(平成21年に比べて)必ずしも拡大したわけではないことがわかります。
特に相続税が発生する見込みの場合などは、「非課税枠が広がった」ということで、あわてて相続時精算課税制度を選択して贈与したりすると、資産の状況によってはかえって相続時に不利になることが起こり得ます。
つまり、目先の住宅取得に関する損得だけで判断するのではなく、将来の相続まで見越した資産の移転対策が、やはり重要だということになると思います。
〈YM〉
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